留学から技人国への変更|審査される3つのポイント⑥

前回の記事では、
留学生が勉強のかたわらアルバイトをする場合には、
原則として、事前に「資格外活動許可」を受ける必要があることを説明しました。

一方で、
活動の内容そのものを変える場合には、
新しい在留資格への変更を申請し、あらかじめ許可を受ける必要があります。

この記事では、
「留学」から「技人国」への変更申請で確認される主な事項を、

1. 技人国に該当する活動か?(在留資格該当性)
2. 技人国を取得するための要件を満たしているか?(上陸許可基準)
3. 変更を認める相当の理由があるか?(相当性)

の3つに分けて説明します。

目次

1. 技人国に該当する活動か?(在留資格該当性)

これから行おうとする仕事が、一定水準以上の専門的な業務であることが必要です。
単純作業(荷物運搬、清掃、レジ打ちなど)が中心の仕事は、技人国には当たりません。

技人国の仕事は、大きく分けると、

・技術 / 人文知識
・国際業務

の2つの類型があります。

それぞれ、該当する仕事の内容が異なります。

◆ 技術 / 人文知識の場合

↳ 理系または文系の専門的な技術や知識を必要とする仕事です。

(例)

・システムエンジニア、
・機械設計、
・マーケティング
などです。

◆ 国際業務の場合

↳ 外国の文化に基づく考え方や感性を必要とする仕事です。

(例)


・通訳、翻訳、語学指導、
・広報、宣伝、海外取引、
などです。

※ CEFR・B2相当の言語能力が必要な対人業務

↳ 通訳・法人営業・ホテルフロント業務など、主に言語能力を用いる対人業務に従事する場合は、業務で使用する言語についてCEFR・B2相当の言語能力が求められます。

2. 技人国を取得するための要件を満たしているか?(上陸許可基準)

技人国を取得するためには、次のような要件が定められています。

◆ 技術 / 人文知識の場合

原則として、次のいずれかが必要です。

・ 大学などを卒業していること

 ↳ 従事しようとする仕事に関係する科目を学び、大学などを卒業している。

・ 日本の専門学校の専門課程・専攻科を修了していること

 ↳ 従事しようとする仕事に関係する科目を学び、専門士・高度専門士の称号を得ている場合など。

・ 実務経験があること

 ↳ 従事しようとする仕事に関係する実務経験が10年以上ある。
 ※大学や専門学校などで、仕事に関連する科目を専攻した期間は、10年の実務経験に含めることができます。

・例外|IT告示


↳  情報処理の仕事では、法務大臣が定める試験に合格している場合や資格を有している場合は、学歴・実務経験の要件は適用されません。

【大学と専門学校の関連性の違い】

・大学を卒業した場合
↳ 学んだ内容と仕事との関連性は、比較的柔軟に判断されます。

・日本の専門学校を修了した場合
↳ 原則として、学んだ内容と仕事との関連性がより厳しく確認されます。

※ ただし、「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の認定学科を修了した場合は、大学卒業者と同様に、関連性が柔軟に判断されます。

◆ 国際業務の場合

次のいずれにも該当していることが必要です。

① 業務内容

↳ 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、服飾・室内装飾のデザイン、商品開発など、外国の文化に基づく考え方や感性を必要とする業務であること。

② 実務経験

↳ 従事しようとする業務に関連する業務について、3年以上の実務経験があること。

※ 大学を卒業した人が、翻訳、通訳または語学の指導に従事する場合は、3年以上の実務経験は必要ありません。

◆ その他(受入れ企業側の要件)

受入れ企業は、日本人が同じ仕事に従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を支払う必要があります。

3. 変更を認める相当の理由があるか?(相当性)

「今回の在留資格変更を認めるのが適当か」を総合的に判断する部分です。

具体的には、次のような事情が考慮されます。

❶ これまで「留学」に該当する活動を行ってきたか

↳ ちゃんと学校に通って勉強してきたかが確認されます。

不許可事例

実際に、出席率が70%だった学生について、学校を休んだ理由を「病気」と説明していたものの、欠席中にアルバイトをしていたことが判明し、変更申請で不許可となった事例があります。

❷ 素行が不良でないこと

↳ 犯罪や法令違反などがなかったか

↳ 資格外活動許可の範囲を守り、アルバイトを週28時間以内にしていたか

不許可事例

「留学」で在留中、1年以上にわたり月200時間以上アルバイトしていたことが判明し、資格外活動許可の範囲を大きく超えていたため、変更申請が不許可になった事例があります。

※ アルバイトのルールについては、前回の記事をご覧ください。
→ 留学生の資格外活動許可|アルバイトの週28時間ルールをわかりやすく解説⑤

❸ 今後も生活費をきちんとまかなえるか

↳ 現在、公共の負担になっていないか
↳ 今後も安定した生活を続けられる見込みがあるか

※ 本人だけでなく、配偶者などを含めた世帯全体で安定した生活ができれば足ります。

❹ 税金や社会保険料をきちんと納めているか

◆ 税金

↳ 住民税や所得税をきちんと納めているか確認されます。

※ 留学生でも、アルバイトの収入額によっては、所得税や住民税を払う義務が生じます。

◆ 社会保険料

↳ 支払う義務がある国民健康保険料や国民年金保険料などについても、きちんと納めていることが求められます。

※ 対象となるのは、次のような人です。

・国民健康保険
→ 勤務先の健康保険など、他の医療保険に加入していない人。外国人は、原則として3か月を超えて在留する人が対象です。

・国民年金
→ 日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の人が原則として対象です。厚生年金に加入している人は、国民年金保険料を別に支払う必要はありません。

◆ 税金や社会保険料の未納がある場合

↳ 納税義務の不履行で刑事罰を受けている場合は、納税義務を履行していないと判断されます。

↳ 刑事罰を受けていなくても、高額の未納や長期間の未納など、悪質な場合は不利に評価されます。

◆ 未納があるときはどうする?

未納がある場合は放置せず、まず未納額を確認し、可能であれば申請前に納付します。

一括での納付が難しい場合は、市区町村や年金事務所に相談し、分納・猶予・減免・免除など、利用できる制度がないか確認します。

❺ 入管への届出などをきちんと行っているか

主に次のような手続が必要です。

↳ 住所が変わったときは、市区町村への届出
↳ 学校を転校・卒業・退学したときは入管への届出
↳ 在留カードに関する手続

【届出期限】
・住所変更(新しい住所に移った日から14日以内)
・卒業・退学・転校(その事実が生じた日から14日以内)
※ 転校した場合は、前の学校から離れたことと、新しい学校に在籍したことをそれぞれ届け出ます。

※ 在留カードの更新・再交付・届出などについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
→ 在留カードとは?|有効期限・更新・携帯義務をわかりやすく解説

❻ 就職先の労働条件は適正か

↳ 雇用契約書や労働条件通知書に、給料・労働時間・休日・仕事内容などがきちんと定められているか確認されます。

↳ また、その内容が労働関係法令に適合している必要があります。

※ 会社側の事情による労働関係法令違反など、外国人本人に責任がない場合は、その事情も考慮されます。

まとめ

留学から技人国への変更申請では、3つのポイントが確認されます。

1.在留資格該当性

↳ 該当していることが必要です。

2.上陸許可基準

↳ 原則として適合していることが求められます。

3.それ以外の事項(相当性)

↳ 1・2を満たしても、それ以外の事項(相当性)で不許可になることがあります。

特にアルバイト(資格外活動)のルール違反は、公式の不許可事例でも繰り返し出てくるので注意が必要です。

◆ これから技人国への変更を考えている方へ

在学中から出席状況やアルバイトのルールを守り、税金・社会保険料の納付や必要な届出も忘れずに行っておくことが大切です。

Q&A

Q1.留学から技人国への変更申請は、いつ行えばいいですか?

↳ 就職先が決まり、在留資格を変更する理由が生じたら、現在の在留期間が満了する前に申請します。

↳ 4月から働きたい場合は、出入国在留管理庁が「12月1日から1月末までの間に申請」するよう案内しています。技術・人文知識・国際業務への変更は、許可までの平均処理期間が72.9日(令和8年7月許可分、出入国在留管理庁)となっているため、余裕を持った申請が大切です。

Q2.変更申請は、だれが行うのですか?

↳ 基本的には、外国人本人が申請します。

↳ 申請取次者として承認を受けた学校の職員や、届出済みの行政書士などが、本人に代わって申請書類を提出することもできます。

※ 申請取次のできる行政書士や弁護士は、申請書の作成と、本人に代わって入管へ提出することの両方ができます。学校の職員は、本人に代わって入管へ提出することはできますが、「申請人作成用」の申請書を本人に代わって作成することはできません。

Q3.ギリギリで申請をして、在留期限が過ぎてしまったらどうなりますか?

↳ 在留期限までに在留資格変更許可申請をしていれば、申請の結果が出る前に在留期限を過ぎても、すぐに不法残留になるわけではありません。

・申請の結果が出るまで

または

・元の在留期限から2か月を経過する日まで

のいずれか早い日まで、引き続き、それまでの在留資格で日本に在留することができます。

Q4.技人国への変更が許可された後は、どのような手続が必要ですか?

↳ 卒業前に審査が終わった場合でも、原則として卒業後に卒業証明書を提出して、変更後の在留カードを受け取ります。

↳ 新しい在留カードを受け取った後は、「技人国」で認められた仕事を始めることができます。

Q5.変更申請が不許可になった場合は、どうすればいいですか?

↳ まず、入管で不許可になった理由を確認します。

↳ 問題点を解消できる場合は、内容を見直して再申請することもできます。

↳ 再申請しても許可される見込みがないケースもあります。その場合は、いったん出国し、必要な要件を整えたうえで、在留資格認定証明書(COE)の交付申請からやり直す方法もあります。

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