前回は
「育成就労を理解する①|まずは技能実習の登場人物を整理しよう」で、
技能実習制度に関わる機関と、
それぞれの機関の役割を説明しました。
今回は、
「受入れ会社が技能実習生を受け入れるまでの流れ」を、
9つのステップに分けて説明します。
1. 監理団体が受入れ可否を確認する
まず、
受入れ会社は、
技能実習生の受入れについて
監理団体に相談します。
相談を受けた監理団体は、
次の流れで準備を進めます。
① 受入れ可能か確認する
予定している実習内容が、
技能実習の対象となるかを確認します。
また、
受入れ会社が技能実習生を
適切に受け入れられる体制を
整えられるかも確認します。
たとえば、
技能実習生を指導する担当者を置けるか、
適切な住居を用意できるかなどを確認します。
② 送出機関へ募集条件を伝える
受入れが可能と判断した場合は、
受入れ会社の希望条件を
送出機関へ伝え、
候補者の募集へ進みます。
2. 送出機関が候補者を募集・選抜する
監理団体から募集条件を受け取った送出機関は、
次の流れで候補者を募集・選抜します。
① 候補者を募集する
実習内容や
賃金、
実習期間、
日本での生活条件などを説明し、
技能実習生を募集します。
② 候補者を選抜する
応募者の経歴や
健康状態、
日本語能力、
技能実習への意欲などを確認し、
受入れ会社から示された条件に合う候補者を選びます。
③ 監理団体へ候補者を紹介する
選抜した候補者の情報を
監理団体へ伝えます。
その後、
受入れ会社による面接へ進みます。
3. 受入れ会社が面接を行い、採用者を決定する
受入れ会社は、
送出機関が選抜した候補者と面接を行い、
次の流れで採用者を決定します。
① 候補者の情報を確認する
候補者の経歴や技能、
日本語能力などを確認し、
送出機関に伝えた条件を
満たしているかを確認します。
② 面接を行う
監理団体や送出機関と調整し、
候補者との面接を行います。
③ 採用者を決定する
候補者の情報と面接の結果を踏まえて、
受け入れる技能実習生を決定します。
④ 雇用契約を締結する
④ 雇用契約を締結する
採用者が決まったら、
受入れ会社と技能実習生との間で、
雇用契約を締結します。
雇用契約で定めた労働条件は、
その後に作成する技能実習計画の前提になります。
詳しくは
「労働条件通知書・雇用契約書の書き方①|技能実習編」
で説明します。
4. 受入れ会社が技能実習計画を作成する
技能実習計画とは、技能実習生が、
「どのような技能」を、
「どのような方法」で、
「どのくらいの期間」かけて
修得するのかを定めた計画書です。
この計画は、
技能実習生ごとに作成し、
外国人技能実習機構(OTIT)の認定を受ける必要があります。
採用者が決まった後、
受入れ会社は、
監理団体の指導を受けながら、
技能実習生ごとに技能実習計画を作成します。
① 実習内容を決める
技能実習生にどのような仕事をさせるかを決定します。
「技能実習制度移行対象職種・作業一覧(94職種171作業)」に
該当する業務であることを確認してください。
技能実習計画の認定を受けるためには、
業務内容ごとに以下の「時間配分ルール」を厳守しなければなりません、
① 必須業務
技能を修得するために中心となる業務です。
実習時間全体の2分の1以上行う必要があります。
② 関連業務
必須業務と関係のある業務です。
実習時間全体の2分の1以下にする必要があります。
③ 周辺業務
掃除、準備、後片付けなど、
実習に付随する業務です。
実習時間全体の3分の1以下にする必要があります。
④ 安全衛生業務
作業中の事故やケガを防ぐために行う業務です。
必須業務、関連業務、周辺業務のそれぞれについて、
安全衛生に関する業務を
10%以上盛り込む必要があります。
② 実習のスケジュールを決める
技能実習の期間や、
各段階で行う作業・指導内容を決めます。
③ 指導体制を整える
技能実習を適切に行うため、
次の担当者を選任し、
計画書に記入します。
| 担当者 | 主な役割 |
|---|---|
| 技能実習責任者 | 技能実習全体を管理し、技能実習指導員や生活指導員を監督します。 |
| 技能実習指導員 | 実習現場で、技能実習生に技能を直接指導します。 |
| 生活指導員 | 日本で生活するうえでの注意点を説明し、生活上の相談に対応します。 |
④ その他の主な記載事項
・技能実習の目標
・技能実習生の氏名や国籍
・監理団体や送出機関の情報
・宿泊施設
・食費や居住費など、技能実習生が負担する費用
⚠️ 注意
技能実習計画は、技能実習生の在留資格の前提となる重要な計画です。
認定後に計画内容を変更する場合は、変更内容に応じて、変更認定申請や軽微変更届出が必要になることがあります。
認定された計画と違う作業を続けたり、指導体制に問題があったりすると、技能実習計画の認定取消しや、企業名公表の対象になることがあります。
5. 外国人技能実習機構が技能実習計画を認定する
受入れ会社は、
監理団体の指導を受けながら作成した
技能実習計画を、
外国人技能実習機構へ提出します。
① 外国人技能実習機構が審査する
技能実習計画や添付書類を審査し、
主に次の点を確認します。
・実習内容が認定基準を満たしているか
・技能実習を行う体制が整っているか
・賃金や労働時間などが適切か
・技能実習生を保護するための措置が講じられているか
② 技能実習計画を認定する
審査の結果、
認定基準を満たしている場合は、
技能実習計画を認定し、
認定通知書を交付します。
6. 入管が在留資格認定証明書を交付する
技能実習計画の認定後、
監理団体は、
技能実習生が日本で
技能実習を行うために、
在留資格「技能実習1号ロ」に係る
在留資格認定証明書の
交付を入管に申請します。
① 入管が審査する
地方出入国在留管理局は、
在留資格「技能実習1号ロ」の
要件を満たしているかを審査します。
たとえば、
・日本で行おうとする活動が、
認定された技能実習計画に基づく活動であるか
・技能実習生が18歳以上であるか
・技能実習生に、実習する業務と同種の業務経験などがあるか、
または技能実習を必要とする特別な事情があるか
などを確認します。
② 在留資格認定証明書を交付する
要件に適合していると
入管が認めた場合は、
在留資格認定証明書を交付します。
監理団体は、
交付された在留資格認定証明書を
技能実習生へ送付します。
7. 技能実習生が査証(ビザ)を申請・取得する
在留資格認定証明書を受け取った技能実習生は、
日本に入国するために必要な査証(ビザ)を、
自国の日本大使館
または総領事館で申請します
送出機関は、
必要書類の準備や
申請手続を支援します。
① 必要書類を準備する
パスポートや
査証申請書、
在留資格「技能実習1号ロ」に係る
在留資格認定証明書など、
必要な書類を準備します。
② 日本大使館などへ申請する
日本大使館または総領事館へ
査証(ビザ)を申請します。
③ 査証(ビザ)が発給される
審査の結果、
問題がなければ、
査証(ビザ)が発給されます。
技能実習生は、
査証が貼られたパスポートを受け取り、
日本への入国準備を進めます。
8. 技能実習生が日本へ入国し、入国後講習を受ける
査証(ビザ)を取得した技能実習生は、
日本へ渡航し、
空港で上陸審査を受けます。
① 上陸審査を受ける
旅券・査証・在留資格認定証明書を
提示して上陸審査を受け、
上陸が許可されると、
在留資格「技能実習1号ロ」を取得します。
そして、日本で
その在留資格に応じた活動を
行うことができるようになります。
② 入国後講習を受ける
入国後、
技能実習生は、
監理団体が実施する
入国後講習を受けます。
講習では、
主に次の内容を学びます。
・日本語
・日本での生活一般に関する知識
・出入国や労働関係法令など、
技能実習生の法的保護に必要な知識
・日本で円滑に技能実習を行うために必要な知識
これらは、
技能実習1号の入国後講習で行う必須の科目です。
9. 受入れ会社へ配属され、技能実習を開始する
入国後講習を修了した後、
技能実習生は、
受入れ会社へ配属され、
認定された技能実習計画に基づいて、
技能実習を開始します。
① 受入れ会社へ配属される
監理団体は、
技能実習生を
受入れ会社へ引き渡します。
受入れ会社は、
技能実習生を受け入れ、
実習場所や
生活上の注意点などを説明します。
② 技能実習を開始する
技能実習生は、
技能実習指導員の指導を受けながら、
認定された技能実習計画に基づいて、
技能実習を開始します。
③ 監理団体が実習を監理する
技能実習の開始後も、
監理団体は、
受入れ会社を定期的に訪問し、
技能実習が正しく行われているかを確認します。
育成就労制度で変わること
作成する計画が、
技能実習計画から
育成就労計画に変わります。
技能実習計画では、
実習する職種や作業、
実習の期間、
指導方法などを定めます。
一方、
育成就労計画では、
これらに加えて、
原則3年間で
特定技能1号の水準に達するための
技能と日本語能力の目標を定めます。
つまり、
技能実習制度は、
技能を身につけて母国へ帰ることを
基本とする制度です。
これに対して、
育成就労制度は、
特定技能1号へ移行し、
日本で働き続けることを
基本とする制度です。
※ 実際には、
技能実習から特定技能への移行も可能であり、
さらに特定技能2号へ移行すれば、
長期にわたって日本で働き続けることも可能です。
そのため、
技能実習で身につけた技能を
母国へ持ち帰って移転するという
制度本来の目的と、
実際の運用とのずれが
指摘されていました。
育成就労制度では、
人材育成と人材確保を
制度の目的として明確に位置づけ、
特定技能への移行を前提とした
仕組みに変わります。
まとめ
技能実習生を受け入れるまでの流れは、
次の9つのステップです。
- 監理団体が受入れ可否を確認する
- 送出機関が候補者を募集・選抜する
- 受入れ会社が面接を行い、採用者を決定する
- 受入れ会社が技能実習計画を作成する
- 外国人技能実習機構が技能実習計画を認定する
- 入管が在留資格認定証明書を交付する
- 技能実習生が査証(ビザ)を申請・取得する
- 技能実習生が日本へ入国し、入国後講習を受ける
- 受入れ会社へ配属され、技能実習を開始する
以上が、
技能実習生を受け入れるまでの
基本的な流れです。
各手続を個別に見ると複雑ですが、
まずは、
全体像を押さえることが大切です。
次回は
「育成就労を理解する③|受入れ会社が行うこと」
を解説します。
受入れ会社の役割を一言でいうと、
「実習の実施」「労務管理」「生活支援」の3つです。