外国人が日本で働くためには、働くための在留資格が必要になります。
この働くための在留資格には、さまざまな種類があり、
それぞれに活動の範囲が定められています。
今回は、現場作業を任せたい場合に、
「技人国」と「特定技能」のどちらの在留資格を選べば、
会社にとって適切か、という視点で整理します。
1. 技人国のメリット・リスク
会社側にとって、「技人国」は選ばれやすい在留資格です。
理由は、特定技能1号に比べて、
次のようなメリットがあるからです。
① 更新回数に上限がなく、長期雇用を設計しやすい
② 特定技能に比べて、支援義務などの管理コストが低い
もっとも、技人国で従事できる業務は、
専門的な知識や技術を前提とする業務に限られます。
つまり、技人国で単純労働に従事することはできません。
そのため、次のような場合には、
申請・更新時に問題となるおそれがあります。
▶ 名ばかりの専門職
例えば、次のようなケースです。
〇 小売・サービス業
「店舗管理」「マーケティング」として申請
→ 実際は、レジ打ち・品出しなどの現業作業が中心
〇 IT企業
「システムエンジニア」「Web担当」として申請
→ 実際は、データ入力や簡単な更新作業が中心
〇 ホテル業
「フロント業務」として申請
→ 実際は、チェックイン対応や案内などの受付業務が中心で、専門性や国際業務の要素が乏しい
※ 受付業務が中心となる場合には、特定技能(宿泊)を検討すべきです。
🔎 チェック:
単純作業を
専門用語で言い換えているだけではないか。
実態を見られます。
▶ 単純労働のシフト化
主たる業務が専門業務であっても、
短時間であっても、単純労働をシフトに組み込み、
恒常的に行っている場合は問題となるおそれがあります。
一時的な手伝いはOKでも、シフト化するとNGです。
🔎 チェック:
その専門業務が、
毎日、十分な量あるか。
入管は、業務量も見ます。
▶ 結論
技人国は、専門的・技術的な業務を前提とする在留資格です。
現業作業が中心になるのであれば、
技人国ではなく、他の在留資格を検討すべきです。
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2. 特定技能
特定技能は、介護・宿泊・外食などの人手不足分野で活用される在留資格であり、
技人国では原則認められていない現場作業に従事できます。
▶ 特徴
① 現場業務に従事できる
特定技能は、
技人国では原則認められていない現場作業に従事できます。
さらに、
「主たる業務」も「関連する付随業務」も、
比較的広く認められる点が特徴です。
例えば、外食分野であれば、
「調理のみ」「接客のみ」ではなく、
飲食物調理、接客、店舗管理など、
店舗運営に関わる現場業務に幅広く従事できます。
また、
日本人従業員が通常行っている
店舗の清掃、皿洗いなどの単純作業にも、
主たる業務とあわせて付随的に従事することが認められます。
② 学歴要件による制約が少ない
大学卒でなくても、
技能試験や日本語試験などの要件を満たせば、
採用できる場合があります。
▶支援義務
特定技能1号の外国人を受け入れる企業には、
次のような支援が求められます。
・職業生活(定期的な面談など)
・日常生活(適切な住居の確保など)
・社会生活上の支援(日本語学習の提供など)
なお、自社での支援が難しい場合には、
その全部または一部を、登録支援機関などへ
委託することも可能です。
▶結論
現場の戦力として、フルタイムで働いてもらうなら、
支援体制を整えたうえで、特定技能で設計することが望ましいです。
※ 特定技能へのシフト
沖縄労働局の2024年10月末時点の統計では、
技人国が2,757人(前年比 +10.6%)、
特定技能が2,788人(前年比 +49.8%)で、
はじめて特定技能が技人国を上回りました。
背景には、
技人国と特定技能の棲み分けが意識されるようになり、
「専門業務は技人国」、
「現場業務は特定技能」
という整理が広がっていることも考えられます
3. まとめ
主に現場作業をさせたいなら特定技能、
専門業務なら技人国です。
この選択を誤ると、
採用したのに許可が出ない、
あるいは更新や運用で問題が生じるおそれがあります。
だからこそ、
申請の前に、どの在留資格が適切かを見極めることが重要です。
固めるべきポイントは、次の2つです。
「ウチでなにをさせたいのか?」
「なぜ、その外国人を選んだのか?」
この2つを申請前に固めておくことで、
申請・更新・運用上のリスクを防ぎやすくなります。
✔ よくある誤解
誤解①
専門業務で申請すれば、あとで単純労働に変えても問題ない
実際には、
更新時には、
課税証明書や納税証明書などから、
収入状況も確認されます。
年収が申請時の内容と比べて極端に低い場合、
本当に専門業務に従事していたのか、
単純作業中心になっていたのではないかと
疑われることがあります。
誤解②
特定技能には日本語要件があるが、技人国にはない
実際には、
海外から外国人を呼び寄せて、
日本語を使う対人業務に従事させる場合には、
原則としてN2相当の日本語能力が求められます。
誤解③
技人国の場合、大卒であればどんな専門業務にでも従事できる
実際には、
本人が学んできた内容と、
実際に従事する業務内容との関連性が見られます。
そのため、
大卒であっても、
専攻内容と業務内容が大きく離れている場合には、
許可が難しくなることがあります。
誤解④
特定技能なら、現場のどんな作業でも自由に任せられる
実際には、
特定技能でできる業務は、
あらかじめ決められた特定産業分野の業務に限られます。
業務区分や分野が変わる場合には、
事前に必要な手続を確認する必要があります。
誤解⑤
外国人は、日本人より安く雇える
実際には、
技人国でも、特定技能でも、
同じ仕事をする日本人と
同等以上の報酬であることが求められます。
※ 外国人雇用は、
人件費を安くするための手段ではありません。
