育成就労を理解する①|まずは技能実習の登場人物を整理しよう

育成就労制度は、
技能実習制度に代わる
新しい制度です。

そのため、
育成就労制度を理解するには、
まず技能実習制度の仕組みを
知っておく必要があります。

技能実習制度には、
実習実施者、監理団体、送出機関など、
多くの機関が関わります。

そのため、
誰がどのような役割を担い、
どのような関係にあるのかが、
分かりにくくなりがちです。

そこで今回は、
育成就労制度を理解するための第一歩として、
技能実習制度に登場する関係者と、
それぞれの関係を整理します。

目次

技能実習制度の目的

技能実習制度は、
日本で身につけた技能を
母国に持ち帰り、
その国の産業発展に
役立ててもらうことを目的とする制度です。

そのため、
単に外国人を労働力として
受け入れる制度ではありません。

技能実習生は、
認定された技能実習計画に沿って、
決められた職種や作業の
技能を学びます。

技能実習生の受入れ方法

受入れ方法には、
主に次の2つがあります。

① 企業単独型
海外の子会社や関連会社などから、
技能実習生を直接受け入れる方法です。
主に大企業で利用されています。

② 団体監理型
事業協同組合などの監理団体を通じて、
技能実習生を受け入れる方法です。
中小企業でも利用しやすく、
技能実習生の多くが
この方法で受け入れられています。

現在、技能実習生の受入れのうち、
団体監理型が約98.3%を占め、
企業単独型は約1.7%です。
(2024年6月末時点)

本記事では、
中小企業で一般的な
団体監理型を前提に、
関係者の役割を整理します。

送出機関の主な役割

送出機関とは、技能実習生を募集・選抜し、日本の監理団体へつなぐ役割を担う外国の機関です。

① 候補者を募集・選抜する

現地で技能実習を希望する人を募集し、
監理団体から伝えられた
受入れ企業側の条件に合う人を選抜します。

② 監理団体へ候補者を紹介する

選抜した候補者を
日本の監理団体へ取り次ぎます。

その後、
監理団体と受入れ企業が
面接を調整し、
受入れ企業が
最終的に受け入れる人を決定します。

③ 入国前講習を行う場合

入国前講習を行う場合は、
日本語や、
日本で生活するうえで必要なルールなどを教えます。

④ 日本への渡航準備を支援する

旅券(パスポート)や査証の取得、
航空券の手配など、
日本への送り出しに必要な手続を支援します。

まとめ

送出機関の最も重要な役割は、本人の適性や意欲を確認し、不当な保証金や違約金による金銭的な拘束を防ぎながら、日本側へ適切な候補者をつなぐことです。
これにより、技能実習生が借金の返済などで追い詰められ、失踪や不法就労に至るリスクを減らします。

監理団体の主な役割

監理団体は、
受入れ後の監査・指導・支援を行います。
また、技能実習生の保護を担う非営利団体です。

監理団体には、
複数の会社でつくる事業協同組合
(同じ業種などの会社が共同で設立する組合)など
があります。
受入れ会社は、
自社の業種に合った団体を通じて
技能実習生を受け入れます。

入国後講習の実施

第1号技能実習生に対し、
入国後に次の講習を行います。

① 日本語
② 日本での生活一般に関する知識
③ 出入国・労働関係法令など、法的保護に必要な情報
④ 技能を円滑に修得するための知識

② 訪問指導・定期監査を行う

・訪問指導
監理団体が実習先を訪問し、
技能実習生が予定された仕事をしているか、
実習が順調に進んでいるかを確認します。

【例】
技能実習生が別の作業ばかりしていた場合、
本来の実習内容に戻すよう指導します。

・定期監査
監理団体が、
受入れ企業について、
賃金や労働時間、実習内容などに
問題がないかを、
書類や技能実習生との面談で
詳しく確認します。

【例】
賃金台帳や出勤記録を確認し、
残業代が正しく支払われているかを調べます。

③ 技能実習生からの相談に対応する

監理団体は、
技能実習生から仕事や生活の相談を受け、
必要に応じて受入れ企業へ改善を求めます。

また、
受入れ企業の倒産や、
技能実習生への不適切な扱いによって
実習を続けられなくなった場合は、
新しい実習先を探すための調整を行います。

帰国旅費の負担

監理団体は、
技能実習の終了後、
技能実習生が円滑に帰国できるよう、
帰国旅費を負担します。

まとめ

監理団体の最も重要な役割は、受入れ企業を監督し、技能実習生の権利を守ることです。賃金の未払いや、不適切な労働環境などを防ぐため、受入れ企業に対するブレーキ役を担います。

実習実施者(受入れ会社)の主な役割

技能実習生を実際に雇用し、
認定された技能実習計画に基づいて実習を行う企業や個人事業主です。

① 技能実習計画の実施

実習実施者は、
あらかじめ認定を受けた
「技能実習計画」に基づいて、
技能実習を行います。

※技能実習計画とは
技能実習生が、
どの仕事を、
どのような方法・期間で学ぶのかを定めた計画です。

② 賃金の支払いと住居の確保

技能実習生の報酬は、
同じ業務に従事する日本人と
同等額以上でなければなりません。

また、
実習実施者または監理団体は、
技能実習生が安心して生活できる
適切な宿泊施設を確保します。

③ 帳簿書類の作成と保存

技能実習が適正に行われていることを確認できるよう、
次の帳簿書類を作成し、
実習終了後も一定期間保存します。

・技能実習生の管理簿
 ⇒ 技能実習生の氏名、実習期間、配属先などを記録します。
・技能実習日誌
 ⇒ 毎日の実習内容を具体的に記録します。
・待遇に関する書類
 ⇒ 賃金台帳や雇用契約書などを保存します。

まとめ

実習実施者(受入れ会社)の最も重要な役割は、認定された技能実習計画どおりに、適正な技能実習を行うことです。

技能実習生

日本の実習実施者と雇用契約を結び、
技能等の修得のために実習を行う外国人本人です。

技能実習生には、
主に次の要件があります。

・18歳以上であること
・制度の趣旨を理解し、自分の意思で参加すること
・帰国後、日本で修得した技能を生かす仕事に就く予定があること
・日本で行う仕事と同種の業務経験があること、
または技能実習を行う特別な事情があること

外国人技能実習機構(OTIT)

監理団体になろうとする団体が、
法律上の許可要件を満たしているかを、
外国人技能実習機構が調査・確認します。

その調査結果をもとに、
法務大臣と厚生労働大臣が
監理団体の許可を行います。

団体監理型では、
① 監理団体が主務大臣の許可を受ける
② その監理団体の指導のもと、受入れ会社が技能実習計画を作成する
③ 外国人技能実習機構が技能実習計画を認定する

という流れになります。

また、外国人技能実習機構は、
監理団体や実習実施者への
実地検査なども行います。

出入国在留管理庁

技能実習生の入国審査や、
在留資格の審査・在留管理などを行う行政機関です。

技能実習計画の認定後、
技能実習生を新たに日本へ呼ぶときは、
監理団体が技能実習生の代理人となり、
在留資格認定証明書の交付を申請します。

育成就労制度で変わること

育成就労制度では、
登場人物の名称や要件も変わります。

① 送出機関の適正化

育成就労制度では、
悪質な送出機関を排除するため、
原則として、
日本と二国間取決めを結んだ国の
政府が認定した送出機関から
受け入れます。

② 監理団体から監理支援機関へ

技能実習制度の監理団体は、
育成就労制度では
「監理支援機関」に変わります。

受入れ会社への指導・監査や、
外国人からの相談対応などの役割は、
基本的に引き継がれます。

一方で、
監督が形だけにならないよう、
外部監査人の設置や、
受入れ会社と密接な関係を持つ役職員の
監理への関与制限などによって、
独立性と中立性が強化されます。

③ 前職要件・帰国後従事要件の廃止

技能実習制度では、
技能移転を目的としていたため、
技能実習生に前職要件や
帰国後従事要件が設けられていました。

一方、育成就労制度は、
人手不足分野における
人材の育成と確保を目的とする制度です。

そのため、
育成就労制度では、
前職要件と帰国後従事要件が
廃止されます。

まとめ

① 送出機関は、
技能実習生を募集し、日本側へつなぐ

② 監理団体は、
受入れ会社を監督し、技能実習生を保護する

③ 受入れ会社は、
技能実習生を雇用し、計画どおりに実習を行う

④ 技能実習生は、
受入れ会社と雇用契約を結び、
技能の修得に取り組む

⑤ 外国人技能実習機構は、
技能実習計画の認定や、
監理団体・実習実施者への実地検査を行う

⑥ 出入国在留管理庁は、
技能実習生の入国や
在留資格の審査を行う

技能実習制度は、
これらの関係者が役割を分担して
運営されています。

次回は
「育成就労を理解する②|技能実習生を受け入れるまでの流れ」
を解説します。

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