就労系ビザの申請では、
雇用する会社は4つのカテゴリーに分類され、
提出書類の量が変わる仕組みになっています。
新設会社などが分類される「カテゴリー4」では、
提出書類が最も多く求められます。
なぜカテゴリー4では、これほど多くの書類が求められるのでしょうか。
提出する書類を一枚ずつ見ていくと、
入管が何を確認したいのかが、見えてきます。
1. 入管の本音
Q. この会社は法的に実在するのか
⇒ 登記事項証明書・定款などで説明する。
Q. 実際に事業が動いているのか。
⇒ 会社案内(パンフレット・ホームページ)・事業計画書などで説明する。
Q. 継続して給与を支払えるか。適正に運営されているか。
⇒ 決算書や納税に関する資料などから状況を説明する。
※ 新設企業は、「事業計画書」で継続性を確認し、
「給与支払事務所等の開設届出書」などで、
適正に給与を支払い、申告する体制があるかを説明する。
Q. 外国人が担う業務がビザに該当するのか。報酬や労働条件は適正か。
⇒ 雇用契約書・採用理由書などで説明する。
▶ つまり、入管が見ているのは、
・制度を悪用して、単純労働に従事させようとしていないか
・外国人が不安定な雇用に置かれないか、という2点です。
▶また、初回に提出した資料は、更新時に提出する納税証明書や課税証明書などと照合され、
「申請した一定水準以上の業務に、実際に従事していたか」を確認する基準としての役割を果たします。
2. 新設会社において、特に重要な書類
・事業計画書
過去の実績がない企業にとって、事業計画書は、以下の点で重要な役割を果たします。
▶「本当に事業が継続し、外国人に給与を払い続けられるのか」という疑念を払拭するため、売上予測や収支計画を示す。
▶ その計画が「絵に描いた餅ではないか」という疑念を払拭するため、「どんな製品・サービスを、どんな方法で展開していくのか」という具体的な事業計画を記載する。あれば、取引先との契約書などを添付する。
▶ この事業計画にとって、「この外国人材の採用が不可欠であること」を示す。
・採用理由書
任意で提出する書類ですが、新設会社において、理由書は以下の点で特に重要な役割を果たします。
▶「十分な業務量」が存在することを説明し、外国人雇用の必要性を立証する。
▶ 外国人が担う予定の職務と、知識・学歴・経験との関連性を、具体的に説明する。
▶ 会社にとって不利な事情がある場合には、それを先回りして説明する。
※例えば、
初期投資によって一時的な赤字が見込まれる場合は、「この赤字は、計画的な初期投資によるものであり、経営不振によるものではない」という事情を、合理的に説明する。
3.まとめ
カテゴリー4(新設会社)で多くの書類が求められるのには、理由があります。
過去の実績がないため、提出書類を通じて「会社の実態」と「将来の継続性」を確認する必要があるからです。
入管が最も警戒しているのは、受け入れ機関側の問題で、外国人が在留を継続できなくなることです。
▶ つまり、ビザ申請は、単に書類を集める作業ではなく、入管の不安に答える作業なのです。
そしてまた、その説明が更新時にも通用するものでなければなりません。
▼理解チェック(五肢択一)
受け入れ機関側の問題により、在留期間更新が不許可となる可能性があるケースとして、最も適切なものはどれか。
- 申請時の仕事内容と実際の仕事内容が一致していない場合
- 初回申請時の報酬額と実際の報酬額が食い違っている場合
- 社会保険への加入状況が適切でない場合
- 実務研修として許可を得たにもかかわらず、専門業務へ移行していない場合
- 決算が赤字であり、事業の継続性について合理的な説明ができない場合
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正解:すべて(1〜5)
解説
1 在留資格は会社ではなく「活動」に紐づいているため、実際の業務内容が一致していないと該当性が否定されるリスクがある
2 申請内容と実態の不一致は、虚偽申請を疑われ、不利益に斟酌される可能性がある
3 社会保険未加入などは、会社の適正性(適法な雇用管理)に疑義を生じさせる
4 研修は一時的なものに限られ、専門業務へ移行していない場合は「本来業務が存在しない」と判断されるリスクがある
5 赤字自体は問題ではないが、合理的な説明ができない場合、事業の継続性に疑問が生じる
※いずれも外国人本人に問題がなくても、会社側の事情により更新が不許可となりうる。

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