④ 理由書が重要な本当の理由 / 入管審査の大原則

在留資格の申請では、
在留資格ごとの要件を提出資料によって
立証する必要があります。

しかし、提出書類をすべて揃えても、
業務の実態や会社の意図までは十分に伝わらないことがあります。

そこで重要になるのが
補足資料である「理由書」です。

その理由を解説します。

目次

1.資料だけでは見えないもの

例えば、技人国では、
業務の「専門性」や、
その外国人材を採用する必要性が確認されます。

しかし、提出資料だけでは、
業務の実態や採用の理由までは
十分に伝わらないことがあります。

そのため、理由書では次の点を明確に示します。

・専門性(誰でもできる仕事ではないこと)
・業務量(専門業務が継続して存在すること)
・必要性(なぜ日本人ではなく、その外国人なのか?)

理由書では、
これらを裏付け資料とあわせて説明します。

【具体例】フロント業務の場合

専門性
ただの受付ではなく、
外国人のお客様への対応、
母国向けの集客・マーケティングなど、
語学力や現地事情への理解を使う仕事であることを説明します。


業務量
外国人のお客様が多いことや、
外国語での問い合わせがあることを、
数字や資料で示します。


必要性
単なる人手不足ではなく、
その人の語学力や学んできたことが、
ホテルの外国人対応やマーケティングに
必要であることを説明します。

2.先回りのフォロー

就労系ビザでは、申請時に、
企業の安定性・継続性も審査要素となります。

そのため、提出した決算書が赤字である場合、
何も触れずに提出すると、
不許可のリスクが高まります。

このような場合には、理由書において、
懸念点に対して先回りしてフォローを行います。

「なぜ赤字となったのか」
「現在の改善状況や業績回復の見込み」などを、
必要に応じて事業計画書等とあわせて示すのです。

【具体例】決算書が赤字である場合

なぜ赤字となったのか
赤字の理由を正直に説明します。
たとえば、
「開業時の設備投資が多かった」
「広告費や人件費が一時的に増えた」
など、一時的な理由であれば、
その事情を説明します。
一方で、経営悪化による赤字の場合には、
なぜ赤字となったのかを隠さず説明し、
今後の改善策もあわせて示すことが重要です。


今後の見通し
「新しい契約が決まっている」
「毎月〇〇万円の売上が見込める」
「固定費を減らした」
など、今後よくなる見込みを説明します。


裏付け資料の提示
新規契約書、売上見込み資料、
固定費を削減した資料などを
あわせて提出し、
説明に説得力を持たせます。

そうすることで、
審査官の懸念や誤解を解消し、
不許可リスクを抑えることができます。

3.更新時にも効いてくる

更新時には、
これまで
在留資格に応じた活動」を
行っていたかが審査されます。

技人国であれば、
「専門業務に従事しているか」が
確認されます。

そのため、
単純労働が疑われやすい事情、
たとえば一時的に現場作業が混ざる場合や、
現場研修を予定している場合には、
最初の理由書でその内容を説明しておき、
実際にもその説明どおりに運用し、
そのことを記録として残しておくこ
とが重要です。

なぜなら、
入管申請では、
許可の要件を満たしていることを
説明する責任は、
申請人側にあるからです。

【具体例】ホテル業で現場研修や一時的な現場作業がある場合

現場研修を予定している場合
理由書で、
研修の目的・期間・内容を
あらかじめ明確にしておきます。
また、研修終了後は、
当初予定していた
フロント通訳などの専門業務に
移ることも説明しておきます。


一時的な現場作業が混ざる場合
基本的にはフロント業務に従事します。
ただし、
団体客のチェックイン時などに、
荷物運びなどの手伝いが
一時的に発生することがあります。
これは、あくまで
突発的・一時的な対応であることを
明記します。


更新時に備えて残しておく資料
研修計画書、配属通知書、
業務日報、翻訳マニュアル、
企画書などを残しておきます。
研修計画書は、
現場研修の目的・期間・内容を示します。
配属通知書は、
研修後に専門業務へ移ったことを示します。
業務日報や成果物は、
実際に専門業務を行っていたことを示します。

より詳しくは、
② 技人国ビザ|『現場作業』が許容されるケース
で解説しています。

4.まとめ

入管申請においては、
許可の要件を満たしていることを説明する責任は、
申請人側にあります。

そのため、不利な事情(赤字決算)や、
疑念が生じやすい事情(技人国で現場作業が混在する場合)については、
入管から問われる前に、
申請人自らが主体となって説明し、疑念を払拭する姿勢が求められます。

そのためのツールが、理由書や事業計画書、研修計画書といった補足資料です。
そして、その中核となるのが理由書です。

 よくある誤解

誤解①
理由書に書けば、それだけで証明になる

実際には、
理由書は、あくまで申請人側の説明です。
立証責任を果たすためには、
理由書で説明した内容を
客観的に裏付ける
雇用契約書、業務資料、
研修計画書、成果物などの
「裏付け資料」とセットで
提出する必要があります。

理由書は、
これらの資料と結びついてはじめて
説得力を持ちます。

誤解②
理由書は、許可を取るためだけの書類である

実際には、
「今回だけ許可が取れればよい」と考えて、
実態とかけ離れた業務内容を
書いてしまうと、
更新時に、
前回の理由書と
現在の実態との違いを
問われることがあります。

理由書は、
ビザを「通す」ためだけでなく、
ビザを「続ける」ためにも
重要な資料です。

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