④ 理由書が重要な本当の理由(技人国編) / 入管審査の大原則

技人国ビザの申請では、
申請人側が、許可要件を満たしていることを
提出資料によって立証する必要があります。

しかし、
提出書類だけでは、
許可要件を満たしていることが
十分に伝わらない場合があります。

そこで重要になるのが、
補足資料としての「理由書」です。

理由書には、
大きく分けて2つの役割があります。

① 提出書類だけでは見えにくい事実を可視化すること

② 入管に懸念を持たれやすい事情について、
先回りして説明し、入管の不安を解消すること

本記事では、
技人国ビザの審査で確認されるポイントに沿って、
理由書がどのような役割を果たすのかを解説します。

目次

技人国ビザ審査の確認ポイント

技人国ビザの申請では、
まず、
❶ 業務に専門性があること
❷ 本人の学歴・職歴と予定業務に関連性があること
が審査されます。

さらに、
許可された在留期間中、
その在留資格に該当する活動を
安定的・継続的に行えるかを確認するため、
入管は
❸ 専門的な業務が継続して発生するか
❹ 会社に継続雇用できる安定性があるか
❺ 法令を遵守している会社か
といった点も確認されます。

申請人側は、
「労働条件通知書(雇用契約書)」
「卒業証明書」
「成績証明書」
「決算書」
などの提出資料によって、
これらを立証する必要があります。

しかし、
提出資料だけでは説明しきれない事情もあります。

以下では、
フロント業務を例に、
各確認ポイントについて、
提出書類をどのように関連付け、
理由書でどのような事情を補足するのかを
見ていきます。

❶ 業務に専門性があること

労働条件通知書(雇用契約書)に
「フロント業務」と記載されているだけでは、
入管に、
「単なるマニュアル通りの受付ではないか?」
と見られ不許可となるリスクがあります。

そこで、理由書では、
「外国人のお客様への外国語での対応」や、
「海外向けの集客・マーケティング業務」であり、
専門性のある業務であることを補足説明します。

❷ 本人の学歴・職歴と予定業務に関連性があること

学歴を要件として申請する場合は、
成績証明書に記載された履修科目と、
従事する専門業務との関連性を説明します。

たとえば、
履修科目(観光マーケティングの知識)が、
従事する業務(外国人向けの宿泊プランの企画立案)に
活かされることを説明します。

こうして、
その外国人が予定業務に適合していることを、
入管に示します。

❸ 専門的な業務が安定的・継続的に発生していること

入管が
専門業務の安定性・継続性を確認するのは、
単純作業が中心になるおそれがないかを
確認するためです。

そのため、
単に「外国人客が多い」と述べるだけでなく、
「年間宿泊客の〇%が外国人客である」などの
客観的な宿泊実績データを示して、
専門業務が継続して発生していることを、
数字や資料で裏付けます。

❹ 会社の安定性・継続性

入管は、
会社が外国人を継続して雇用できるかを、
財務諸表などの提出資料によって確認します。

したがって、
提出した決算書が赤字である場合、
何も触れずに提出すると、
不許可のリスクが高まります。

このような場合には、
なぜ赤字になったのか、
一時的な赤字なのか、
今後改善する見込みがあるのかを、
理由書で説明し、
契約書や売上見込み資料などで裏付けます。

また、
新設会社には過去の実績(決算書)がないため、
事業の継続性を十分に示せないことがあります。

そこで理由書では、
事業計画書に書いた売上予測について、
なぜその売上が見込めるのかを説明します。

たとえば、
代表者のこれまでの経験、
取引先とのつながり、
すでに相談・契約が進んでいる案件などを示して、
事業計画に現実性があることを補足します。

❺ 会社の適正性

活動の継続性を担保するためには、
その活動が適法なものであることが求められます。

そのため、
労働条件や雇用管理に問題がある場合には、
不許可となるリスクがあります。

【具体例】

・勤務時間が週40時間を超える場合
週40時間を超える勤務が予定されている場合、
労基法32条違反と見られ、
不許可となるリスクがあります。

このような場合には、
36協定の締結・届出の有無を確認し、
締結・届出済みであれば、
協定書などの資料とともに説明します。

未締結・未届出の場合は、
そのまま申請するのではなく、
労働時間の見直しや適法な労務管理体制の整備が必要です。

・社会保険への加入が遅れていた場合
たとえば、
加入義務を認識していなかったために
社会保険への加入が遅れていた場合は、
現在は加入手続を完了し、
保険料も納付済みであることを説明します。

あわせて、
今後は社会保険関係法令を遵守する体制を整えたことも説明します。

理由書の内容どおりに運用する

理由書は、
申請を通すだけのものではありません。

説明した内容に沿って運用することが大切です。

① 在留資格の取消しリスク
理由書で、
「専門的な業務に従事させる」
と説明して許可を受けたにもかかわらず、
実際には単純作業が中心になっている場合、
在留資格の取消しの対象となることがあります。

※ 本来の活動を3か月以上継続して行わない場合、取消し対象となります(入管法22条の4第1項6号)

② 更新・変更申請が不許可になるリスク
直ちに取り消されなかったとしても、
理由書で説明した内容と
実際の運用が乖離している場合には、
「相当の理由がない」と判断され、
次回の更新や変更申請において
不許可となるリスクが高くなります。

「法務大臣は、……在留資格の更新・変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。」(入管法第21条第3項・同第20条第3項)

【具体例】理由書と実際の業務が違っていた場合

理由書で、
「外国人のお客様への対応」や
「海外向けの集客・マーケティング業務」
に従事させると説明して許可を受けたにもかかわらず、
実態として、
清掃、配膳、荷物運びなどの
現場作業が中心になっている場合、
申請内容と実態が異なると見られる可能性があります。

この場合、
在留資格の取消し対象となる可能性があるだけでなく、
次回の更新・変更申請でも
不利に判断されるリスクがあります。

まとめ

入管審査では、
許可要件に適合していることを
立証する責任は、
申請人側にあります。

そのため、
説明不足による不許可のリスクは、
申請人側が負うことになります。

したがって、
「必要資料だけでは見えない事情」や、
「不利な事情」については、
入管から問われる前に、
申請人側が主体的に説明し、
疑念を払拭する姿勢が求められます。

そのためのツールが、
理由書や事業計画書、研修計画書といった補足資料です。

そして、
その中核となるのが理由書です。

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