前回のブログでは、
「技人国」は、
学術上の素養を背景とする
一定水準以上の専門的な業務に
従事するための在留資格であることを
説明しました。
しかし、
入管の審査では、活動を全体として見た場合に、
技人国スタッフであっても、
現場作業・単純作業への従事が許容されるケースがあります。
今回は、その線引きを見ていきます。
❶ 現場作業そのものが「専門的な業務」
現場で行う業務であっても、
その業務自体が一定水準以上の専門的・技術的な業務であれば、
技人国に該当する場合があります。
例えば、
建設現場で行う測量調査や、
施工管理における品質・安全・工程の確認などです。
⚠️ 「現場での指導・監督」=技人国ではない
「指導・監督」「管理」といった業務が含まれていても、
それだけで技人国になるわけではない点に注意が必要です。
例えば、次のような業務は
特定技能2号として整理されています。
| 業種 | 特定技能2号 |
|---|---|
| 宿泊業 | 複数の従業員を指導しながら行うフロント、企画・広報、接客、レストランサービス業務 |
| 外食業 | 飲食物調理、接客、店舗管理、店舗経営 |
| 工業製品製造業 | 複数の作業員を指導しながら行う製造工程・組立工程の作業、工程管理 |
| 自動車整備業 | 他の要員への指導を行いながら行う自動車の日常点検整備等の一般的な業務 |
| 建設業 | 複数の建設技能者を指導しながら行う土木作業等、工程管理 |
特に、特定技能の対象分野(宿泊業、外食業、工業製品製造業、自動車整備業、建設業など)については、技人国とのすみ分けに注意が必要です。
「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」の違いについて(出入国在留管理庁・令和8年1月現在)
❷ 付随業務としての現場作業・単純作業
技人国に該当する
専門業務に付随して行う現場作業であれば、
日常的に発生する場合であっても、
業務全体として専門業務が主である限り、
許容される余地があります。
・例えば
金属工作機械メーカーで、
工作機械の精度調整などを行う技術者が、
一連の業務として、
工作機械の組立作業も行う場合です。
参照:
「技術・人文知識・国際業務の在留資格の明確化等について」別紙3の許可事例
❸「研修」としての現場作業・単純作業
入社当初の研修や、
配置転換に伴う研修などで、
今後、
技人国に該当する専門業務を行う上で
必要となる研修であれば、
現場作業や単純作業が含まれていても、
認められる場合があります。
ただし、次の点が重要です。
・ 技人国に該当する専門業務を行う上で必要な研修であること
・ 日本人の大卒社員等にも、同様の研修が行われていること
・ 技人国で在留することが想定される期間全体から見て、研修期間が大半を占めないこと
・ 研修後は、技人国に該当する専門業務へ移行すること
⚠️ 注意
✔ 入管庁は、
雇用契約が3年間で更新予定もないのに、
そのうち2年間を実務研修とする申請は
認められないと明示しています。
✔ また、
外国人社員だけに研修を設定したり、
日本人社員と異なる研修を行う場合には、
合理的な理由(日本語研修を目的としたようなもの等)が必要です。
✔ なお、
実務研修が1年を超える場合には、
研修計画の提出が求められ、
研修期間の合理性が審査されます。
❹ 一時的・突発的な現場作業・単純作業
主たる業務が専門業務であれば、
一時的・突発的に生じる現場作業は、許容される余地があります。
・例えば
・OK寄り(一時的)
外国人客への案内や通訳の流れで、一時的・突発的に荷物を運ぶ
・NG寄り(恒常化)
通訳・マーケティングの空き時間に、主業務と関係のない皿洗いや客室清掃を日常的・恒常的に担当する
⚠️ 注意
一時的・突発的に行う作業であれば、
直ちに問題とはなりません。
しかし、
こうした作業が恒常的な業務となれば、
技人国の在留資格該当性が問題となります。
まとめ
技人国において、
現場作業や単純作業が認められる場合には、
❶ 現場で行う業務そのものが専門業務にあたる場合
❷ 専門業務に付随する現場作業・単純作業
❸ 実務研修として行う現場作業・単純作業
❹ 一時的・突発的に行う現場作業・単純作業
があります。
この線引きを知ることは、
適正な労務管理を行ううえで重要であり、
企業と外国人の双方を守ることにつながります。
▼ 沖縄のホテルで起きがちなケース
主たる業務は、
外国人ゲスト対応や館内案内・通訳などの
フロント関連業務とします。
Q1.忙しいときに配膳を手伝ってもいい?
一時的・突発的な対応であれば、
許容される余地があります。
ただし、
配膳をシフトに組み込むなど、
恒常的な業務にしてはいけません。
Q2.入社後のOJTで、レストランや客室業務を経験させてもいい?
将来の専門業務に必要な実務研修であれば、
認められる場合があります。
研修期間・内容を明確にし、
研修後は専門業務へ移行することが重要です。
Q3.社員全員で行う短時間の清掃も問題になる?
全社員が共通して行う
ごく短時間の清掃であれば、
直ちに問題になるものではありません。
ただし、
外国人社員だけに清掃を
恒常的に担当させる場合は別です。