技人国ビザで現場作業・単純作業はどこまでOK?|許可事例で解説③

前回のブログでは、
沖縄のホテル・宿泊施設を例に、
技人国ビザで「できる仕事・できない仕事」を、
入管庁の許可・不許可事例から見てきました。

ただし、入管の審査では活動全体の内容から判断されるため、
技人国スタッフであっても、現場作業・単純作業への従事が認められるケースがあります。

今回は、その線引きを見ていきます。

目次

❶ 現場作業そのものが「専門的な業務」

現場で行う業務であっても、
その業務自体が一定水準以上の専門的・技術的な業務であれば、
技人国に該当する場合があります。

(例)
建設現場で行う測量調査や、施工管理における品質・安全・工程の確認など

⚠️ 「現場での指導・監督」=技人国ではない

「指導・監督」「管理」といった業務が含まれていても、
それだけで技人国になるわけではない点に注意が必要です。

(例)
次のような業務は、特定技能2号として整理されています。

業種特定技能2号
宿泊業複数の従業員を指導しながら行うフロント、企画・広報、接客、レストランサービス業務
外食業飲食物調理、接客、店舗管理、店舗経営
工業製品製造業複数の作業員を指導しながら行う製造工程・組立工程の作業、工程管理
自動車整備業他の要員への指導を行いながら行う自動車の日常点検整備等の一般的な業務
建設業複数の建設技能者を指導しながら行う土木作業等、工程管理

特に、特定技能の対象分野については、技人国とのすみ分けに注意が必要です。

「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」の違いについて(出入国在留管理庁・令和8年1月現在)

❷ 一部に技人国に該当しない業務が含まれるケース

技人国に該当しない業務が、
通常業務としてシフトに組み込まれている場合、
原則として認められません。

しかし、入管庁が公表する許可事例には、
技人国に該当しない業務が一部含まれていても、
許可されたケースがあります。

▶ 工作機械メーカーの事例

工作機械の精度調整や加工設備のプログラム作成とともに、工作機械の組立作業にも従事するケース。

入管は、同一業務を行う日本人従業員について次の点を確認し、許可しています。
・日本人従業員が理工学部卒であること
・同一業務の求人も大卒相当の学歴要件であること
・申請人の給与が、同じ業務を行う日本人従業員と同額であること

▶ ホテルの総合職の事例

大型リゾートホテルの総合職として、フロント業務のほか、レストラン業務・客室業務等をシフトで担当するケース。

入管は次の点を確認し、許可しています。
・主として翻訳・通訳、予約管理、コンシェルジュ業務、顧客満足度分析等を行っていること
・他の総合職採用の日本人従業員も同様の業務を行っていること

【ポイント】

入管庁の許可事例では、
主として行う業務が技人国に該当する業務であるかどうかに加え、
同じ業務を行う日本人従業員の学歴や給与、同一業務の求人における学歴要件なども確認されています。

これは、申請人が従事する業務が、
実際に技人国に該当する専門的な業務であるかを判断する材料の一つとなります。

参照:
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について 別紙3「許可事例」

❸「研修」としての現場作業・単純作業

入社当初の研修や配置転換に伴う研修など、
今後、技人国に該当する専門業務を行ううえで必要となる研修であれば、
現場作業や単純作業が含まれていても、認められる場合があります。

ただし、次の点が重要です。

・ 技人国に該当する専門業務を行ううえで必要な研修であること
・ 日本人の大卒社員等にも、同様の研修が行われていること
・ 技人国で在留することが想定される期間全体から見て、研修期間が大半を占めないこと
・ 研修後は、技人国に該当する専門業務へ移行すること

※ ここでいう「期間全体」とは、1回ごとに許可される「在留期間」(在留カードに記載される期間)そのものではありません。技人国として今後在留することが想定される期間全体を見て判断されます。

▶ 許可事例

経営学を専攻して大学を卒業し、ホテルに総合職(幹部候補)として採用。
2ヶ月の座学研修と4ヶ月のフロント・レストランサービス研修を経て、
フロント業務での外国語対応や宿泊プラン企画業務に従事し、許可された事例。

⚠️ 注意

✔ 外国人社員だけに研修を設定したり、日本人社員と異なる研修を行う場合には、
日本語研修を目的とする場合など、合理的な理由が必要です。

✔ なお、実務研修が1年を超える場合には、
研修計画の提出が求められ、研修期間の合理性が審査されます。

▶ 不許可事例

ホテルサービス等を専攻して専門士を取得した外国人が、
採用後の最初の2年間、実務研修として
レストランでの配膳や客室清掃に従事する予定だったケース。

技人国に該当しない業務が、
在留が想定される期間全体の大半を占めるとして、
不許可となりました。

❹ 一時的・突発的な現場作業・単純作業

主たる業務が専門業務であれば、
一時的・突発的に生じる現場作業は、許容される余地があります。

(例)

▶ OK寄り(一時的)

↳ 外国人客への案内や通訳の流れで、一時的・突発的に荷物を運ぶ

▶ NG寄り(恒常化)

↳ 通訳・マーケティングの空き時間に、主業務と関係のない皿洗いや客室清掃を日常的・恒常的に担当する

⚠️ 注意

一時的・突発的に行う作業であれば、
直ちに技人国に該当しない活動とは判断されません。

しかし、こうした作業が恒常的な業務となれば、
技人国の在留資格該当性が問題となります。

まとめ

技人国において、
現場作業や単純作業が認められる場合には、

❶ 現場で行う業務そのものが専門業務にあたる場合
❷ 一部に技人国に該当しない業務が含まれる場合
❸ 研修として現場作業・単純作業を行う場合
❹ 一時的・突発的に現場作業・単純作業を行う場合

があります。

この線引きを知ることは、
適正な労務管理を行ううえで重要であり、
企業と外国人の双方を守ることにつながります。

▼ 沖縄のホテルでよくあるケース

Q1.技人国のスタッフが忙しいときに配膳を手伝ってもいい?

一時的・突発的な対応であれば、
許容される余地があります。

ただし、配膳をシフトに組み込むなど、
日常的な業務として行う場合は、
技人国が想定している範囲の業務に該当しない可能性があるため注意が必要です。

Q2.社員全員で行う短時間の清掃も問題になる?

全社員が共通して行う
ごく短時間の清掃であれば、
それだけで技人国が想定している範囲の業務から外れるとは判断されません。

ただし、外国人社員だけに清掃を
恒常的に担当させる場合は別です。

Q3.技人国のスタッフがレストラン業務や客室業務を固定シフトで担当しても大丈夫?

原則として、技人国では、
現業業務(レストラン業務や客室業務)を、
主たる業務として固定シフトに組み込んでいる場合、
技人国に該当する活動とは認められません。

ただし、入管庁の許可事例には、ホテルの総合職として採用され、
レストラン業務や客室業務など、技人国に該当しない業務を
シフトで担当していても、許可された事例があります。

この事例では、
・主として技人国に該当する専門業務を行っていること
・他の総合職採用の日本人従業員も同様の業務を行っていること
が確認されています。

関連記事:技人国と特定技能の違い|現場作業を任せるならどっち?①

Q4.研修期間を長めに取っても大丈夫?

(不許可事例)

ホテルサービスを専攻し専門士を取得した外国人が、
最初の2年間を実務研修として、
レストランでの配膳や客室清掃に従事する予定だったケースでは、
技人国に該当しない業務が、
在留が想定される期間全体の大半を占めるとして、
不許可となっています。

(許可事例)

総合食料品店の本社の総合職として、期間の定めなく採用された外国人が、
採用後の最初の2年間、スーパーマーケットの店舗で、
商品の陳列、レジ打ち、接客、顧客ニーズの把握などの
実務研修を行うケースでは、許可されています。

この事例では、日本人の大卒者にも同様の2年間の実務研修を行い、
研修後は本社の営業・管理部門や、グループ内の貿易会社で
営業・海外業務に従事するキャリアステップが予定されていました。

このように、同じ2年間の実務研修であっても、
在留が想定される期間全体に占める研修期間などによって判断されます。

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