在留資格「日本人の配偶者等」は、
身分・地位に基づく在留資格です。
入管法(別表第二)では、
次の身分(又は地位)を有する者と定めています。
1.日本人の配偶者
2.日本人の特別養子
3.日本人の子として出生した者
在留資格「日本人の配偶者等」は、
身分・地位に基づく在留資格であるため、
就労する職種や内容について制限がありません。
(入管法第19条第1項)
たとえば、
・会社員として事務職や営業職で働くこと
・飲食店や工場などで働くこと
・アルバイトをすること
・自分で会社を経営すること
なども可能です。
もっとも、
日本人の配偶者の身分を有する者としての活動
(例えば、夫婦の共同生活)を行わなくなると、
次回の更新が認められなかったり、
在留資格取消しの対象となる可能性があります。
この記事では、
・日本人の配偶者、
・特別養子、
・日本人の子として出生した者について、
それぞれどのような人が対象となり、
どのような要件や立証資料が必要になるのかを見ていきます。
また、
取得後に注意すべき点についても見ていきます。
1.日本人の配偶者
日本人の配偶者である外国人が対象となります。
取得要件は次の通りです。
✅ 法律上有効な婚姻であること
・(原則として)
両国において、法律上有効な婚姻関係にあることが必要です。
・ 現に婚姻中であること
内縁関係の人や、離婚・死別した人は含まれません。
立証資料
・日本人配偶者の戸籍謄本
※婚姻事実の記載がない場合は、婚姻届出受理証明書も提出します。
・申請人の国籍国の機関から発行された結婚証明書
※結婚証明書を提出できない場合は、提出できない事情(離婚の承認が済んでいない場合など)を説明する書面を提出します。
✅ 婚姻の実態があること
・真摯な婚姻意思があること
ビザ取得を目的とするなどの形式的な婚姻(偽装結婚)ではなく、夫婦として共同生活を営む意思があること。
・実際に夫婦として生活していること
合理的な理由がない限り、同居して生活していることが必要です。
※ 別居している場合でも、
別居に至った経緯や、別居中の行き来、夫婦としての協力関係などから、実際に夫婦関係が続いていると認められれば、別居に合理的な理由があると認められる場合があります。
(例えば、単身赴任や、親の介護など)
※ 別居に合理性が認められない場合
例えば、
・夫婦仲の悪化・不仲による別居
・長期間別居し、連絡・面会・生活費の負担など夫婦としての交流が途絶えている場合
このような場合でも、別居しているという事実だけで直ちに不許可となるわけではなく、
・婚姻関係を維持・修復する意思の有無
・婚姻関係を修復できる可能性
などがさらに確認されます。
立証資料
・配偶者(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し
(同居の事実の確認)
・質問書
(結婚に至った経緯などの質問に回答する)
・夫婦で写っている写真
・SNS記録、通話記録など(スクリーンショットなど)
(夫婦間の交流が確認できる資料)
※別居中の場合
必要に応じて、次のような資料を提出します。
・別居の理由を裏付ける資料
(例:転勤辞令、診断書、介護認定書など)
→ なぜ同居できないのかを客観的に示すため。
・生活費の送金記録
→ 別居中も夫婦間の協力・扶助関係が続いていることを示すため。
✅ その他の資料
身元保証書
配偶者(外国人)の
・滞在費
→ 日本で生活するために必要な費用を支えること
・帰国旅費
→ 本人が帰国する必要があるのに旅費を負担できない場合に、帰国に必要な費用を支えること
・法令遵守
→ 日本の法律を守って生活するよう、身元保証人として指導・監督すること
について保証します。
原則として日本人配偶者が身元保証人になります。
日本での滞在費用
費用を負担する人
(複数の人で申請人の滞在費用を負担する場合は収入の多い方)の
直近1年分の
・住民税の課税証明書(または非課税証明書)
・納税証明書
を提出します。
これらの資料によって、
滞在費用を負担する人の所得と納税状況を確認し、
日本での生活費を負担できるかを確認します。
外国人本人が自ら滞在費用を負担する場合は、
本人の課税証明書・納税証明書を提出します。
これらを提出できない場合は、
預貯金などによって
日本での滞在費用を負担できることを
証明します。
婚姻の実体に疑義が生じやすい場合
年齢差が大きい、交際期間が極端に短いなどの場合は、
質問書に交際・結婚に至った経緯を具体的に記載し、
必要に応じて理由書などで補足します。
年収が少ない場合
預貯金やその他の資産などによって、
夫婦が日本で生活を維持できることを補強します。
✅ 在留資格の取り消し
「日本人の配偶者等」のうち
配偶者については、
正当な理由なく、配偶者としての活動を
継続して6か月以上行わないで在留している場合、
在留資格の取消しの対象となることがあります。
◆別居している場合
転勤、病気、親族の介護、DVなど、別居について正当な理由がある場合は、直ちに取消しの対象になるわけではありません。
◆ 離婚調停・離婚訴訟中の場合
子の親権を巡って離婚調停中である場合や、
日本人配偶者が有責であることなどを争って離婚訴訟中である場合は、
配偶者としての活動を行っていなくても、
「正当な理由」があると認められることがあります。
✅ 離婚・死別した場合
届出
「日本人の配偶者」として在留している人が、日本人の配偶者と離婚または死別した場合は、14日以内に、出入国在留管理庁へ届け出る必要があります。
在留資格の変更
離婚・死別した後も、日本で引き続き生活する場合は、「定住者」や「就労資格」など、他の在留資格への変更を検討します。
【定住者への変更】
日本での婚姻生活が概ね3年以上ある場合や、日本人の実子を監護・養育している場合は、婚姻期間にかかわらず「定住者」への変更を検討します。
【就労資格への変更】
大卒等の要件を満たす場合は、「技術・人文知識・国際業務」への変更を検討します。
2.日本人の特別養子
日本人の特別養子である外国人が対象となります。
取得要件は次の通りです。
取得要件・立証資料
◆ 民法第817条の2の規定による特別養子であること
✅ 実方の血族との親族関係が終了する養子縁組のことであり、
「普通養子」は含まれません。
立証資料
・日本人養親の身分関係を証明する資料
(戸籍謄本)
・特別養子縁組の成立を確認するための資料
(特別養子縁組届出受理証明書、または家裁の審判書謄本及び確定証明書)
◆ 日本での滞在費用を証明すること
立証資料
・費用を負担する人の直近1年分の住民税の
課税(または非課税)証明書及び納税証明書
※これらを提出できない場合は、預貯金通帳の写しなどで証明します。
◆ 身元保証人がいること
立証資料
・身元保証書
(日本に居住する養親などが身元保証人になります。)
※ 身元保証人は、申請人(外国人)の
滞在費・帰国旅費・法令遵守についてサポートします。
死別した場合
「特別養子」は、
日本人の父母または養父母と死別しても、
届出や在留資格の変更は必要ありません。
3.日本人の子として出生した者
日本人の子として出生した者(外国人)が対象となります。
取得要件は次の通りです。
取得要件・立証資料
「日本人の子として出生した者」とは、
日本人との間に親子関係があるが、
日本国籍を有していない外国人をいいます。
◆ 出生時の親の国籍
✅ 出生時に父または母のいずれかが日本国籍を有していたこと
✅ 出生前に父が死亡していた場合は、その父が死亡時に日本国籍を有していたこと
※ 出生後に父または母が日本国籍を取得しても、「日本人の子として出生した者」にはなりません。
※ 出生後に父または母が日本国籍を離脱しても、「日本人の子として出生した」という事実には影響しません。
◆ 実子であること
✅ 嫡出子(父または母のいずれかが日本人)
✅ 日本人の父に認知された嫡出でない子
✘ 養子は含まれません。
◆ 出生地
✅ 日本国内で出生した者に限られません。
✅ 海外で出生した者も含まれます。
※ 補足
原則として、
出生時に父または母が日本国民であれば、
その子は出生により日本国籍を取得します。
(国籍法第2条第1号)
そのため、
日本で生活するにあたって在留資格を
取得する必要はありません。
しかし、
父または母が日本人であっても、
例えば次のような場合には
その子は外国人となります。
(在留資格「日本人の配偶者等」の対象となります。)
① 日本で出生した場合
出生により日本国籍を取得しますが、
他方の親の国の法律により、
出生によって外国国籍も取得する場合があります。
この場合、
出生時から日本国籍と外国国籍の
両方を有することになります。
重国籍となった者は、
18歳になる前に重国籍となった場合は20歳までに、
いずれかの国籍を選択する必要があります。
(国籍法第14条第1項)
その際、
外国の法令により外国国籍を選択すると、日本国籍を失います。
(国籍法第11条第2項)
② 海外で出生した場合
出生によって外国国籍も取得した場合、
出生から3か月以内に、
出生届とともに「日本国籍を保持する意思」を届け出なければ、
出生時にさかのぼって日本国籍を失います。
(国籍法第12条・戸籍法第104条)
ただし、
この国籍留保をしなかったために
日本国籍を失った者は、
18歳未満で日本に住所を有する場合、
法務大臣への届出によって
日本国籍を再取得することができます。
(国籍法第17条第1項)
一方、
外国国籍を選択して日本国籍を失った場合は、
国籍法第17条第1項による
日本国籍の再取得の対象にはなりません。
取得するための要件・立証資料
✅ 日本人の子として出生した者であること
・出生届受理証明書、認知届受理証明書などで証明します。
※海外で出生し、国籍留保をしなかったために日本国籍を喪失した者については
・出生国の機関から発行された出生証明書、認知に係る証明書
✅ 日本での滞在費用を証明する
・費用を負担する人の直近1年分の住民税の
課税(または非課税)証明書及び納税証明書
※これらを提出できない場合は、預貯金通帳の写しなどで証明します。
✅ 身元保証人の存在
・身元保証書
(日本に居住する養親などが身元保証人なります。)
※ 身元保証人は、申請人(外国人)の
滞在費・帰国旅費・法令遵守についてサポートします。
死別した場合
「日本人の子として出生した者」は、
日本人の父母または養父母と死別しても、
届出や在留資格の変更は必要ありません。
4.変更申請の場合
日本にすでに他の在留資格で在留しており、
在留資格「日本人の配偶者等」へ変更申請する場合は、
・素行が不良でないこと
・独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
・納税義務等を履行していること
なども考慮されます。
※短期滞在から他の在留資格への変更は、
「やむを得ない特別の事情」がなければ認められません。
ただし、
日本人との婚姻関係が成立し、
妊娠している場合などの事情がある場合には、
「日本人の配偶者等」への変更が認められることがあります。